あらすじ
未来に起こることの確率が調べられるとしたら、あなたは何の確率を調べますか?
Amazonより
時代遅れの政略結婚で、好きでもない女性と夫婦になってしまった男性。
彼女との暮らしに苦痛を感じていた彼は、あるときから『妻を殺してもバレない確率』を調べるようになった。
確率は低いが、うまくいけばこの無意味な生活を終わらせられる……。
『確率』が繋ぐ人と人との不思議な縁。
表題作以外にも「明日、世界が終わる確率」「あの子が同じ電車に乗ってくる確率」「彼が奥さんと別れる確率」「娘に彼氏ができる確率」「空から女の子が降ってくる確率」「私が一生独身の確率」など、読めば心が晴れやかになる7つの短編からなるオムニバス作品。
☆こんな方におススメ☆
*不思議な世界観と、ホロっとする恋愛や青春を楽しみたい方
*確率大好きな方
誰もが未来に起こる確率を調べられる世界 が舞台
第5回ネット小説大賞でグランプリを獲得した注目作。
7つの短編の背景にあるのは「誰もが未来に起こる確率を調べられる」世界です。
遠くない未来なのかもしれませんが、腕時計型の装置やスマートフォンやタブレットなど身近にあるもので、誰もが自分や世界に起こることを調べられる「未来予測システム」なるものが開発されます。
そのシステムが一般の人でも使えるようになっている世界が舞台で、さまざまな登場人物が確率を調べることから物語が始まります。
表題の「妻を殺してもバレない確率」をはじめ、将来を期待されていた陸上部員が事故で走れなくなり、自暴自棄になって調べた「明日、世界が終わる確率」、変わり映えしない毎日の中で唯一の楽しみとして男子高校生が調べていた「空から女の子が降ってくる確率」など。
「自分が未来予測システムを使えたら何を調べるだろう」と考えながら、確率がもたらす不思議な出会いと変化の物語を読み進めました。
確率とは何なのか?考えさせられる
小説の中では確率が時に経つにつれ、上下したり、逆に全く変化がないことに揺れる登場人物たちの姿が描かれます。
「彼が奥さんと別れる確率」を調べる女性や「娘に彼氏ができる確率」を調べる父親はその確率の変化に一喜一憂です。
一方で 「明日、世界が終わる確率」 を調べる高校生は50%というあり得ない確率が出たことに思い悩んだり・・・
システムは自分や周りの状況をより正確に打ち込むほど確率の正確さが上がるので、絶対と言えるものではありませんが、かなりの正確性を誇るので、どうやってその確率が出たのか?今後どうなっていくのか?を登場人物たちは必死に考え、未来をいいものにしようともがきます。
そしてシステムが出した確率を少しでも変えていこうとしたことが最後には何らかの実を結び、少しずつ現実を変えていくのです。
僕がこの本を読み終えて感じたのは「未来を変える1つの大きな力は自分がどう動くか、努力するかである」ということです。
このシステムが確率を出すときに根拠にするのが、「社会やその人物の周りの状況」(客観的事実)と「その本人の状況」(主観的条件)ですが、大きく変わりえるのが主観的状況の方です。
客観的事実は少しずつ変わっていくものですが、主観的条件はその本人の努力や心境で一気に変わりえます。
この本の登場人物たちは確率を「変わらないもの、絶対的なもの」とは捉えず、何かしら努力を続けたことで、その確率を変化させていったというところが個人的に感銘を受けたところでした。
「未来の確率が分かること」=「未来を良くしていく第一歩」に過ぎなかったのだと思います。
昔好きで聞いていた19(ジューク)の「あの青をこえて」の歌詞の一節を思い出しました
生きてゆく事は掛けて行く事
僕らしく意味を追い駆けて
どんなにもチャンスがめぐってきても僕がゼロなら意味がない
「あの青をこえて」19
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