プライベートではいろいろと小説を読んでいます。そんな小説の中でも気になるのが「地元が舞台になっている小説」なんですが、いろいろと呼んでいく中で金沢が舞台になっているものや重要な役割を果たすものがありました。
今回は題名に金沢が入っているものではないですが、自分が好きな作家さんの中で金沢が重要な役割を果たす面白い小説6つほどご紹介させていただきます。
ボトルネック(米澤穂信)
自分がいた世界と姉が生きている世界、自分の周りの人たちの姿に戸惑いながらも、起きていることを把握しようと行動します。
しかし最後に待ち受けるのは残酷な現実でした。
主人公・リョウは亡くなった恋人を追悼するため訪れた東尋坊で断崖から墜落。・・・のはずが気が付けばいたのは見慣れた金沢の街。不思議に思いながら戻った自宅にいたのは自分が産まれる代わりに流産で亡くなったはずの「姉」でした。
この小説は金沢大学(角間キャンパス)に縁のある人ならとても懐かしい1冊になると思います。なぜなら兼六園あたりから杜の里・旭町あたりがメインの舞台になるからです。
それもそのはず。作者の米澤穂信さんは金沢大学を卒業した方で、自分が通いなれた道や過ごした土地を作品に盛り込まれているようです。
(ちなみに僕と年齢が近いのでもしかしたらキャンパス内ですれ違っていたかも⁉)
最近では「山本周五郎賞」を獲得(直木賞候補)し、ドラマ化もされた「満願」や「古典部」シリーズでも知られる人気の作家さんです。 金沢の街なみをしっかりと描きながらも人間の温かさ・怖さが描かれるおススメの1冊です。
アンと青春(坂木司)
主人公・アンちゃんがデパ地下の和菓子屋「みつ屋」で働く日常を描いた物語第2弾(第1弾「和菓子のアン」)
個性的な仲間が働くお店には、いろんな悩みや人生につまづいた人々が訪れます。そんな人たちの悩みを和菓子の観点から真剣に考え、解決していく「日常系ミステリー」
覆面作家・坂木司さんの人気作「和菓子シリーズ」。 日常生活の中での人々の何気ない悩みや謎を描くのを得意とする作者が和菓子屋を舞台に、不思議なミステリーを展開します。
「シンデレラ・ティース」も拝読しましたが、坂木さんと言えばミステリーの中にオシャレ&素敵要素を散りばめる作家さんだと思います。どんな作品でも題名やふとした一説に込められたオシャレフレーズに、思わずびっくりしてしまいます。
本作は金沢が舞台ではないですが、和菓子の有名どころということで金沢の和菓子を取材されたそうです。最後には金沢の和菓子が謎を解決に導いてくれます。
1作目「和菓子のアン」↓
ユージニア(恩田陸)
旧家で起きた、大量毒殺事件。未解決となったあの事件、真相はいったいどこにあったのだろうか。数々の証言で浮かび上がる、犯人の像は――。
「日本推理作家協会賞」及び「連作短編集部門」を受賞した恩田陸さんの有名作。「夜のピクニック」で「吉川英治文学新人賞」「本屋大賞」を受賞したのをはじめ、最近では『蜜蜂と遠雷』で直木賞・本屋大賞を受賞した人気の作家さんです。
作中では北陸K市が舞台となっていますが、随所に金沢や周辺の地名やスポットが登場します。
大量殺人事件というシビアなテーマを扱っており、多くの証言を元に時系列を入れ替えて構成された作品のため、読み解くにはかなりの集中力と考察力が求められます。ですが、読者それぞれが物語を解釈する余地も残されているので、読み応えのある1冊となっています。
ようこそ授賞式の夕べに~成風堂書店事件メモ(邂逅編)~(大崎梢)
日常に潜むミステリーを描き続けている大崎梢さんの「本シリーズ」の集大成の1冊。書店で起きる様々な難問を描いた「成風堂書店事件メモ」、出版社を舞台にした「出版社営業・井辻智紀の業務日誌」の登場人物たちが一同に会し、書店大賞(本屋大賞)をめぐる事件に立ち向かいます。
その事件の謎を解くカギになりそうなのが、かつて金沢にあったとされる「飛梅書店」(架空だと思われますが・・・)という本屋さんです。 飛梅町とは今でいうところの兼六園あたりから石引地域を指しているようです。
「アンと青春」もそうですが、重大犯罪の謎を解く本格ミステリーとはまた違って、日常に潜む何気ない謎や人々の思いを紡いでいく「日常系ミステリー」としてとても楽しめる1冊なので、ぜひ本屋&出版社シリーズも読んでもらえると嬉しいです。
夜明け前に会いたい(唯川恵)
金沢で生まれ育ち、もと芸者の母と二人暮らしの希和子二十四歳。
裏表紙より
新進の友禅作家・瀬尾との穏やかな恋が始まったかに思えた東京出張の夜、思いがけない事実に打ちのめされた希和子は最終の新幹線に飛び乗った――。
純粋な恋がもたらす歓びと哀しみ、親子の情愛が雪の古都を舞台に美しく描かれる長編恋愛小説。
金沢市出身で2002年には「肩ごしの恋人」で直木賞を受賞したことでも知られる唯川恵さんの1冊。金沢の人気観光地となった茶屋街などを舞台に、恋愛や親子の関係を描きます。
生まれ育った作者ならではの金沢の街に対する描写や冬の金沢の雰囲気の描き方が秀逸でした。人間の心の揺れ動きとともに、どこか金沢を旅している雰囲気を味わえる作品だと思います。
君が今夜もごはんを食べますように(山本瑤)
家具職人をめざし、修行を積んでいた倉木相馬。良い家具を作るには人間について理解していなくてはならないと考える師匠に、家具職人以外の仕事を経験するよう言われ、女友達の営む茶房で働くことに。もともと料理が得意だった相馬は、茶房での仕事に喜びを見出し始めて…。優しすぎる男と壊れかかった女たち。心と身体に愛の滋養、じんと沁みる金沢ごはん物語…!
裏表紙より
今では有名観光地として人気のある金沢・ひがし茶屋街周辺をメインの舞台に、金沢の街なかの様子が描写されています。 金沢周辺に住んでいる方や訪れたことがある方は、情景が頭に浮かんできそうです。 題名の「君」というのは基本的に恋人のことを指しているとは思いますが、全体的な雰囲気などから見ると全ての人たちに向けられた言葉なのかもしれません。 そうすると「食事や食卓を介して描かれた若者たちの葛藤と青春のストーリー」かなと個人的には感じました。
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