【13冊目】密室の病院を舞台に繰り広げられる息詰まる心理戦。ピエロの仮面の下に待ち受けるもの「仮面病棟・時限病棟」(知念実希人)

強盗犯により密室と化す病院。息詰まる心理戦の幕が開く! 療養型病院にピエロの仮面をかぶった強盗犯が籠城し、自らが撃った女の治療を要求した。先輩医師の代わりに当直バイトを務める外科医・速水秀悟は、事件に巻き込まれる。秀悟は女を治療し、脱出を試みるうち、病院に隠された秘密を知る――。そして「彼女だけは救いたい……」と心に誓う。閉ざされた病院でくり広げられる究極の心理戦。迎える衝撃の結末とは。人気急上昇の新鋭ミステリー作家で現役医師が描く<本格ミステリー×医療サスペンス>。

仮面病棟・Amazonより

タイムリミットは6時間。脱出できるのか――最速一気読み! 究極のどんでん返し!!目覚めると、彼女は病院のベッドで点滴を受けていた。なぜこんな場所にいるのか? 監禁された男女5人が、拉致された理由を探る……。ピエロからのミッション、手術室の男、ふたつの死の謎、事件に迫る刑事。タイムリミットは6時間。謎の死の真相を掴み、廃病院から脱出できるのか!? 大ヒット作『仮面病棟』を凌ぐスリルとサスペンス。圧倒的なスピード感。衝撃の結末とは――。

時限病棟・Amazonより
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密室の病院を舞台に繰り広げられるホラーミステリー

両作品の舞台となるのは病院です。
作品の関係で言うと、「仮面病棟」で起きた事件が原因で病院が廃病院となり、「時限病棟」の舞台となります。
設定などはそれぞれ違いますが、同じ場所が舞台であることや「ピエロ」が大きなカギを握ることなどから実質的なシリーズ物になっています。

「仮面病棟」は主人公の外科医・速水秀悟がたまたま当直となり、事件に巻き込まれる形になります。近所で起きた強盗事件の犯人が病院に逃げ込み、病院スタッフや患者を人質に立てこもります。しかもピエロの格好をするという不気味な出で立ちで。

しかも事件は立てこもりだけにとどまらず、病院スタッフの中にも怪しい人物がいたり、病院自体も大きな謎を抱えている雰囲気です(警察に通報しようとしないスタッフたち、病院の古さに比べて不自然に最新鋭の手術室など)

脱出を試みて病院内を調べまわるうちに次第に病院とスタッフたちが抱えるどす黒い闇が明らかになっていきます。果たしてピエロの仮面を被っているのは誰なのか?強盗事件の後ろに隠された本当の闇とは?

「時限病棟」は「仮面病棟」の事件で放棄された廃病院が舞台です。
主人公・倉田梓が目覚めるとベットの上でした。体には点滴などが繋がれ、どうも拉致・監禁されていたらしい。周りを調べると同じように拉致された男女4人がいました。その後、病院内を調べると出口となる1階の入り口には爆破装置があり、6時間以内に謎を解いて脱出しないと病院もろとも助からないことが明らかになります(命をかけたリアル脱出ゲームの様相)

男女5人は脱出するための謎を解いていく中で、手術室の中に監禁されていた男を発見、お互いのことを調べていくうちに驚くべき繋がりと過去の恐るべき事件に関係していることが明らかになります。
また同時刻にある事件を調査していた刑事2人は、この監禁事件にまつわる不可思議な事実を知ることになります。

タイムリミットの6時間の中で次々と明かされていく恐ろしい男女の関係性。そしてそれにまつわる関係者たちの深く暗い怨念。
果たして男女は無事に廃病院を脱出できるのか?そして監禁事件に隠された真実とは?

医者×小説家の真骨頂が発揮されたミステリー

著者の知念実希人さんと言えば、医師でありながら小説家としても活躍するという異色の経歴を持っています。

僕は彼の作品は「屋上のテロリスト」「優しい死神の飼い方」「黒猫のセレナーデ」などを読んでいますが、今回の両作品は病院や医療の知識をふんだんに注ぎ込んだ、本格的医療ミステリーだと感じました。
ミステリーとしての伏線や背景描写が素晴らしいのはもちろんですが、手術や治療シーンのリアリティや医療技術をトリックや伏線回収に使いつつ、一般の読者にも分かるように描く文章力には感嘆です。

また、両作品で個人的に素晴らしいと思ったのが「登場人物の少なさ」「犯人の可能性の均一化」です。
犯人の可能性がある登場人物を5人前後に絞って描くというのは、話を進め方によってはかなり早い段階で読者に犯人を気づかれる可能性があると思います。

かく言う僕も、途中で「この人がおそらく犯人だろう」という目星は付きましたが、ちょうどいいタイミングで新事実や別の人物の疑わしい点が出てくることで、誰でも犯人でありうる可能性や共犯などの疑いをちらつかせ、より読者を深く考えさせていると感じました。

さらに「時限病棟」では、事件を調べている刑事を登場させ、監禁された状況だけでは分かりえない謎や伏線について、上手く読者に提示している点がとても読みやすかったです。

映画上映も上映されています

「仮面病棟」は2020年3月6日より、坂口健太郎さん主演、 永野芽郁さんがヒロインで映画が上映されています。

小説でもいろいろな場面で映像が浮かんでくるようなビジュアル向きの作品だったので、映画でも緊迫感やスピード感が上手く表現されていました。

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