高知県が発祥の地で現在は全国各地に広がった「よさこいまつり」
その発祥の地・高知を舞台に、夏のよさこいまつりに参加するチームの青春とときどき恋愛を描いた作品です。数少ない「よさこい小説」の中でも本場のよさこいまつりを正確に描写し、その熱気や人々の思いを伝えている「よさこいのバイブル」と言ってもいい1冊ではないでしょうか?
よさこいまつりの裏で各チームがどんな準備をしているのか。踊りの練習から衣装・楽曲制作、まつりの運営の裏側を垣間見ることができ、よさこいに関わる人たちがどんな思いを持っているのかも知ってもらえる作品だと思います。
よさこいを今やっている方、これから始めてみようという方、「よさこいって何?」という全く知らない方、すべての人におススメしたい1冊です。
☆こんな方におススメ☆
*よさこい愛に溢れる方。よさこいチームや関係者の方。
*「よさこいって何?」という方。
*大学生のひと夏の青春が大好きな方。
あらすじ
幼少期に夏休みなどを過ごしていて、大学進学を期に戻ってきた高知で主人公の篤史はよさこい祭りに誘われます。最初は惰性でチームへの参加を決めた篤史も「初恋の人を探したい」という淡い望みから徐々に深くチームに関わることになります。
個性的なチームの面々、衣装も楽曲も手作りというやり方に戸惑うばかりの篤史でしたが、メンバーの熱気や思いに次第に共感し、中心メンバーとしてチームを運営していくことになります。
近づいてくる祭り本番。各チームや街の人たちの人間模様と青春、高揚していく高知の街。
はたしてチームはまつりの中で輝くことができるのか?そして篤史の恋の行方は?
よさこいカメラマンとして熱くなった1冊
よさこいカメラマンとして前から読んでみたかった1冊。
東海・北陸のよさこいしか見たことはありませんが、街ぐるみで開催されている高知のよさこい祭りを見に行きたくなりました。
途中、チームのセンターである伝説の踊り手・カジさんが他のチームからも誘われ、指導などもしていたという場面。
入賞を目指して自分のチームが必死に頑張っている中、他のチームに塩を送るような行動に主人公が怒る場面でしたが、僕の中では長年疑問に思っていたことが納得できたような気がしました。
いろんなよさこい祭りに行っても各チームが仲が良いというのが前から疑問でした。一応は入賞や大賞を目指して各チームが競うのが目的なので。
ただこの本によれば、よさこいは各チームの歌、振り付け、衣装などを同じ人が手掛ける例も多く、各チームがライバルというよりは兄弟や仲間という感覚が強いこともあるそう。
さらに言うと「一緒に祭りを作り、盛り上げる」という意識が強いらしいのです。
その一方で自分たちのチームの入賞を狙って切磋琢磨するということも忘れずにやっているそうです。
ここによさこいまつりに行って感じる清々しさと熱さの根源があるのだなと納得できた気がしました。
祭りを作り上げるものとして、いろんなチームが協力して盛り上げ高めあいながら、自分のチームのレベルを引き上げるため必死に努力する。ある意味、「競争」というものの本質を見た気がしました。
この本は主人公の「初恋の人探し」という側面も持っているので、よさこいを知っている人はよさこいの背景も含めて楽しめ、初めての方も恋愛青春小説の側面からよさこいの世界に入りやすい1冊だと思います。
よさこいカメラマンとしては、ぜひ多くの方に読んでいただきよさこいに触れてもらえると嬉しいですね。
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